セミナーレポート

第12回セミナーについて


思春期・青年期の人格形成に迫る性教育の追究   永野佑子
「障害児・者の性的人権」に確信を持って
 第12回障害児性教育セミナーは2007年3月3・4日に日本福祉大学名古屋キャンパスで行われました。
 私たち性教協障害児サークルは、昨年7月に大月書店の新シリーズ本の第6巻、障害児・者版を上梓しましたが、その前年に手がけた障害児・者の自慰の研究も併せて、「障害児・者の性的人権」について大いに確信を持ってきました。
 特に「からだの主人公」としての自慰の意義、人間発達の視点、またそこへの支援の重要性などを確認できました。自慰の研究を通して、性が人権であることに確信を持ち、大月書店のシリーズ本作成で障害児の性教育を体系的に纏めることで、03年からの性教育の攻撃に対しても教育実践で対応できる力量を持ったことでした。
 今年度、サークルは新たな研究課題、「障害児の思春期・青年期の人格発達、特に性的発達をどうとらえるか(仮称)」という視点でこの1年間研究を深める方針です。第12回障害児性教育セミナーは新たな研究課題を深める第1歩でもありました。

障害者が主人公のセミナー・・・会場にあふれる若者たち
 参加者は2日間で約100名。それに出演してくださった中村一座の若者28名と付き添いの父母10名ですので計130名弱という今までで最高の人数になりました。出演を待つ若者たちがロビーにあふれるセミナー会場は「障害者が主人公」、そのもののすがたでした。
 約100名の参加者の階層は寄宿舎の職員を含めて学校の教職員が約50名で半数を占め、保護者が約20名、保育園、学生、障害者本人、その他などです。障害者自立支援法が影響してか、障害者施設職員がほんの数名で少ないことが気がかりでした。3名の保健師さんが参加された保健所、5名の寄宿舎職員が参加された養護学校が2校、3名の教員参加の学校は2校、2名参加の学級、保育園など、誘い合って参加・研究される姿は力強いものがありました。また名古屋会場は保護者の参加が多いことが特徴ですが今年は中村一座の関係の保護者や父母ネットの呼びかけで20名もの参加となりました。
 北は北海道から南は沖縄まで、実に全国各地からこのセミナーにたくさんの方が駆けつけてくださったこと、偶然にも今回は他団体でも性教育に関心を持ち実践をされている方が何人もこのセミナーに参集されて、充実した討議・討論がされたことなどが特徴でした。

思春期・青年期の人格形成に迫る
 
日本福祉大学、木全和巳先生の記念講演「障害のある思春期・青年期の人たちの性と生」は、「『思春期』を生きる障がいのある子どもたちと教育実践のいくつかの課題」という研究の一端(思春期の自分くずし、自分づくり)を発表されました。
 二日目の分科会は、第1分科会,第2分科会とも高等部の実践報告が多いのですが、第3分科会の通勤寮の実践報告とも共通する課題は、知的に高い青年たちの葛藤です。日本の子育ての貧困と格差社会のあおりは、障害のある子どもたちをも直撃しています。障害のある子どもたちの育つ環境が貧しく過酷であること、実際にその生育歴の中では性体験がかなりあることが事例として出されてきました。その上様々な性情報に振り回される青年たち。健常児と言われる10代の若者たちと同じような共依存、デートDV、性交などの性的関係の指導が養護学校高等部でも、もう避けられません。そして軽度が故に、彼らが自ら野放しの性的環境に支援の手を離れていくことに対する、教師の痛恨な思いが語られました。障害のある若者たちがもろに日本社会の性的発達支援の貧しさの爆風にさらされていること、障害児教育はそうしたことの聖域ではないことが如実になった12回セミナーでした。
 その点でも、150名の在校生の半数以上が生育歴で傷ついた障害児施設の子たちであった七生養護学校がどんなに先進的な問題を抱え、子どもたちに対峙しての「こころとからだの教育」がどんなに先駆的な実践であったかが分かります。改めて七生裁判の勝利と障害児の性教育の発展に向かって歩み出す決意を固めた12回セミナーでした。

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